映画「さくらん」

土屋アンナ主演の「さくらん」レイトで見てきました。
知人から電話があって「映画見ない?ついでに話がある」と言われたので、結婚でもするのかと思って、浅川マキの「こんな風に過ぎてゆくのなら」口ずさんで会ったら、どうも知人が勤めている営業所が来月で撤退するから、他所に移って残るかそれともリストラかを迫られているそうだ。しかも、他所にうつるなら、仕事は選べず給料も減給、条件的には最低ですな。転職しなよ。なんて話をしながら、実はこの会社、去年の二月まで私も勤めていたので、そのまま居たところで今年の四月で解雇だったんだなぁ~。決断早くて良かった。なんて、胸をなで下ろしたのでした。
「さくらん」ですが、音楽が椎名林檎です。なるほどこういうことでしたか。ニューアルバムは結局、この映画のための書き下ろしみたいなもんだったんだなぁ。でも、劇中の曲もみーんな歌モノってのはやりすぎで、耳障りだった。歌モノはオープニングとエンディングだけでよかった。この映画、作りは70年代の邦画っぽい雰囲気で作られているのですが、あのころの映画って、ラストが〈終〉とか〈完〉とかできっぱり終わるでしょ?最近の映画って、その後に長々とエンドロール始まって、クレジットなんて主要の役者とか、制作協力と監督なんかが入ればいいのに、長々と500人くらい名前出てくるじゃない?そんな情報どうでもいいのに。あれ不要だよね。昔の映画みたく、最初に出演者、協力、監督でいいと思う。あと、お風呂のシーンでおっぱいがいっぱいコマ切りでいっぱい入るシーンがあるんだけど、カットが高速化してくると急にCGっぽくなる。アレもダメ。変な画像処理が妙に安っぽい。ああいうのは力業で自力で高速化しなきゃダメだ。あと、土屋アンナの啖呵は摩邪とだぶる。でも、他は良かった。以下がんがんネタバレなので(上のでも人によってはネタバレかもしれないけど)見ようと思っている人は読まないでね。この映画の見所はなんといっても、木村佳乃木村佳乃の流血っぷり、屍のきれいなこと。この演出には惚れました。あと、金魚がいい。映画なり、ドラマ、CMとかに使われる金魚って、だいたい痩せ細った活きの悪い「どこの売れ残り?」って感じの金魚が多いのだけど、この映画の金魚は実にいい。特に土屋アンナが出世して「日暮」になったあたりで部屋の金魚鉢に入ってるぶってり太ったサラサ流金は上物。上物といっても、らんちゅうみたいに高額な金魚じゃないから六千~八千円程度の金魚だと思うのだけど、これだけの金魚ってなかなか映像でお目にかかれないのでついついうっとりした。あと、こういう女郎ものの作品だと、出生がどうの、女の性がどうので、なんとも湿気が立ちこめやすいのだけど、とてもカラリとしている。口調などはまさに現代劇だし。圓生百席の「鰍沢」で、圓生志ん生鰍沢の吉原にいたという女の口調が下品で「女郎というのはあんな下品な話し方はしないのです。志ん生鰍沢は完全な曲解。でも、鰍沢というと志ん生のが正しいと思っている人が多く嘆かわしい」と憤慨していた。この映画を志ん生が見たらたぶん笑うだろうけど、圓生が見たら怒るんだろうなぁ。それと、この映画にはどこかに庵野秀明忌野清志郎風間やんわりが出てきます。庵野秀明はすぐわかったけど、他二人は全くわからなかった。まぁいいじゃないですかそんなことは。
この映画見た後に、梶芽衣子、宇崎竜童の「曽根崎心中」見たら、すごいショックだろうなぁ。同じ遊廓ものなのに。