立川談志「NHK落語名人選30」

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談志の古い音源というと「ひとり会」の全50巻があるけど、特に初期のものに関しては音質的な問題があって、もちろん価値のあるものには変わりないけれども、鑑賞というよりは資料的な価値の方が濃厚な感じがしていた。若い頃の談志のあのなんとも底意地の悪い狡猾な滑舌をもっといい音質で聞けたらいいなぁ~とずっと思っていたが、これはまさにそれに叶う、数少ないアイテムの一つだといえる。音もいいし、客の臨場感もいい。それでいて演目があの「鼠の穴」である。爆笑問題の太田が談志に「なんでも好きなのやってやる」と言われ選んだのがこの「鼠の穴」だったらしいけど、談志自体はあまり好きではないらしいこの噺も、実は「ひとり会」の全集が出る前の段階では「一番手軽に入手可能な談志の音源のベストなものの一つ」だったのだと思う。なんせ、NHK全集の一巻であるから、だいたいどこの図書館にでも置いてあるし、その全集中でも談志の巻はただこの一巻のみであるわけだから他に選びようがない。だから寄席以外、ラジオ以外で談志の落語を気軽に聞くとなったら、とりあえずこの「NHK落語名人選30」しかない。それゆえ、この中の演目「鼠の穴・天災」が談志のイメージとして濃厚に残ったというのは想像に堅くない。でも、やっぱり選ばれるだけのことはある内容ですよ。これはぜったい聞くべき。なぜかこの巻はカセットのみでCDになっていないけど、近所の図書館いくつか回ればどっかしらあるので機会があれば是非聞いてみてください。