豊島たづみ「ちぎれ雲」

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ねぇねぇ、皆さんご覧になりました?明菜様の新しいカバーアルバムのジャケ。チープな懐メロオムニバスみたいな、でいてひどく匿名的なジャケ(一見で明菜のアルバムとはまず、わからない)。まぁね、歌姫シリーズの一番最初のアルバムのジャケなんて見れた物じゃなかったですよ。でも、ヘタにレトロ感覚取り入れるなら、デカダンな男装を美麗に決めてみるとか、革のつなぎでバイクに跨るとか、線路のジャンクションでポンチョ羽織ってがんくれてるとか、高層ビルの非常階段で黒髪指に絡ませて街を俯瞰するとか、やっぱり明菜様が明菜様然としている姿を私たちは拝みたいわけじゃない?そういう明菜様を窓辺に置いて拝みたいわけじゃないですか。というより、拝む物でしょ?明菜様。拝めない明菜ジャケなんて明菜ジャケとはいえない。そういう意味では薹の椅子でエマニエル夫人に扮した歌姫シリーズ4作目はいい線いってたな。でも洋物より和物で攻めて欲しいなぁ。

「ちぎれ雲」百円でゲット。これで豊島たづみのオリジナルアルバムは全部揃ったかも。
デビュー作は宇崎竜童夫妻作でヒットしたシングル「とまどいトワイライト」を収録した同タイトルのアルバムということになっていますが、実はその前にこのアルバムをリリースしていて、歌謡界ではよくあることなのかもしれないけれども、レコード会社も名前も変更無く次作で再び「デビュー」なんて言えたって事は、このアルバムがどれだけ売れなかったかって事だよね。ってことで再デビュー前のデビュー作。
どんだけ方向性違うのかと思ったけど、この人の基本スタイル(ボッサ風の枯れたギターとシティポップ系の軽やかなポップス)は既にできているし、松本隆作詞2曲につのだひろ2曲と布陣で手を抜いているわけでもない。アルバムとしての出来はなかなか。というか、好みではコマーシャルで歌謡な「とまどいトワイライト」よりシックなこちらのほうがいい。この人のアルバムは松本隆を起用しリゾートものをやるも、ポップになりすぎてこの人の地味なカラーと折り合わず大失敗した「淑女のたしなみ」以外はどれも聞ける。

再デビュー盤「とまどいトワイライト」収録の「ひとあしお先に」がこのアルバムで既に収録されとる!ってことはこのアルバムは闇に葬られてるってわけでもないのかな?闇に葬った上でこの曲だけ拾ったのかな?この人は結局「とまどいトワイライト」がちょっと売れたくらいでそれ以降ぱっとせず、でいてアルバムは「STILL NIGHT」「LONELY ONE」みたいな名作をリリースしたが、そんな売れなかったみたいだ。「とまどいトワイライト」「淑女のたしなみ」以外、CD化してくれないかなぁ。