TANGERINE DREAM「STRATOSFEAR」

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高校生の頃以来、何年か置きに確実にレコードを買っているバンドがある。「タンジェリン・ドリーム」である。最初に買ったのが「ルビコン」。その数年後に「フェードラ」、二十代前半に「リコシェ」「ツァイト」、それからしばらく間をおいて三十代に入って「アテム」「ホワイト・イーグル」、その間にエドガーのソロ「Ages」も買った。クラウス・シュルツもちょいちょいと買い集めた。だいたい、はまったり、夢中になったりするとその時点で全部揃えたくなったりするものだが、このバンドに関してはそういう欲求は起こらなかった。その都度、集めればいいか、という状態で数十年。後にも先にもこういうつきあい方をしたバンドはタンジェリン・ドリームだけである。また、生涯に於いてタンジェリン・ドリームを聞くという知人に出会えたことがない。ナンシー関が死んだとき、あまりのショックに職場の会う人会う人に「ナンシー関、死んじゃったんだって」と問いかけて全員に「誰それ?」と言われたときのショックと、世の中そんなものなのか感を味わってから、自分の尺度で世界を見るのはもう止そうと決め、自分の趣味と巷は別物と考えるようになった。「CANが好き」という人はいたが、いわばそこはお互いの嗜好の最小公約数みたいな部分で、バックグラウンドは全く違っていたし、私なんかはドイツ系として捉えていたわけだからかなりわかりやすいが、相手はノイズ、パンク好きで、一様にはCANと全く繋がらない趣味だった(その人はタゴマゴが大好きで、なによりダモ鈴木フリークだった)。なわけで、人間の思考、嗜好、趣向、みんな複雑で一様にわかりづらいものですね。音楽聞くようになってそれこそ万葉に趣向は変わってきたように思うけど、やっぱりタンジェリン・ドリームはいいなぁ。たまりませんわ。そういえば、高校の時、知人に「ルビコン」を間違って45回転で聞かせてしまい、途中で33回転に直したら「45回転の方が良かったよ~」とバカにしたような口調でしつこく戻すようにせがまれたことを思い出す。断固として戻さなかったけどね。お前には百年早いわ!