アオマツムシ問題再び

さっき見てた「柳生武芸帳」でもアオマツムシが盛大に鳴いていた。
このドラマは話自体がコントみたいなのでいいのだが(12チャンだし、青山(おりん)倫子出てるし)なんでアオマツムシがこうも使われやすいのか少し考えてみた。(時代劇でアオマツムシが鳴いちゃいけない理由が知りたい人はアオマツムシの由来をネットでググってね)
今回使われていたシーンは街道での殺陣のシーン。高橋英樹ちゃんが盛大に斬りまくるシーンだ。

まず最初に考えられるのは
「夏場の屋外夜間ロケゆえ、マイクに入り込んだ音声をそのまま使った」
現場の臨場感をそのまま出すには有効な手段といえる。ただそれは現代劇での話だ。

「街道の街路樹で鳴く虫としてはアオマツムシが最も妥当」
木の上で鳴く虫として、ヤブキリ、カネタタキ、一部ウマオイ、クビキリギスなどがいるが、合唱して鳴くのはアオマツムシ以外いない。アオマツムシ以外の虫は郊外では聞けても市街地では聞けないものが多く、鳴き声もドラマに向きにくい。(私ならこの場合はウマオイを選ぶが)。それ以外の虫だとコオロギなら田園や野原を想起させるし、キリギリスなら河っぺり、鈴虫だと納涼っぽいし、ヒメギスは湿地、カンタンは草の茂った荒野というふうに鳴く声によってイメージを限定されやすい(逆にこれらを巧みに使いこなす音工さんがいたら惚れるね)。

「鳴き声が無難」
鳴き声として聞きなじみがある。合唱では鳴き始め、なき終わりを決めずに延々と流せる。鳴き声も悪くない(大合唱はかなり五月蠅いが)。鳴き声が情緒的ではない(他の虫には心境や風情や土地勘がまぎれこむ要素があるが、アオマツムシにはそれが希薄)。

「知識がない」
全てはここに集約。でもよく考えてみて。これって時代劇中でブラックバスブルーギル釣っちゃうのと同じことでしょ?ギャグですよね。ここが倒壊してるならいっそ全部倒壊させてもらわないと腑に落ちないわ。虫なめんな。

ってことでアオマツムシが鳴く虫では汎用性が一番高く無難だというのがわかる。それゆえ事故が起こりやすい。でも昔の映像作品ではこういう事故見た記憶がない。それは場面の意味を含めて虫を鳴かしていたからではないかと思う。ただなんとなく鳴いているというのではなく画面の何かと結びつく要素として鳴いている。であればアオマツムシが選択に上がらないのもうなずける。アオマツムシなんて本来なら都会の真夏の熱帯夜くらいにしか使えないもの。けだるい音だ。不景気でテレビドラマに音工を雇う金も無いのかもしれないが(いても無能ばかりか)もうちょっとどうにかしてほしいものだ。

きっとそれだけ(音だけ)の問題じゃないんだろうけど。