それでもまだ欲しい

山下達郎の「クリスマス・イブ」って雪深い地方都市の歌だと思うといろいろ合点が行く。きっと君は来ないというのは通説では約束をドタキャンととられるが、「来ない」は「来られない」(交通が麻痺して来るに来られない)とも考えられる。そのことわりの連絡がないのはこの歌がリリースされた当時はまだ携帯電話が一般的ではなかったことを踏まえれば至極当然な話だ。それにだいたい都心で雪の降るクリスマスっていうのが現実的でないことを考えれば「舞台=東京」というのはありえない。雪深い日本海側が山岳地帯、東北、北海道方面を想定していると思って間違いないだろう。そう考えるとこの歌の趣もだいぶ変わってくるのではないだろうか。

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私の部屋にはラジオを聞ける媒体が少なからず四個ある(単独チューナー、ミニコンポ、ラジカセ、ラジデン)。一時、デジタルラジオ媒体が欲しくて「CaptyTV Mobile」の入手をまじめに考えていたこともあったがいつの間にか褪せた。今にわかに欲しいのがパイオニアのチューナー、F-03、F-C3。今手元にあるラジオでAMステレオ受信できるのはKENWOODのKTP-5002のみ。で、音質的にもそれなりに納得していたのだけど(少なからず他のラジオよりはレンジはいい)パイオニアの上記二機種のAMステレオの音質がどうも尋常でなくいいらしい。受信のいい局であればFM級の高音質で受信できるというのだ。そんなことあるんか?つーか、そんなものが存在していたのになんでいままで持ってなかったんだろう。ああ、なんてこと。ちなみに上記二機種はAMステレオ放送開始の翌年、93年くらいに発売された機種だが、AMの受信の素晴らしさは後になって認められはじめた(どうも近年ジャンク品などから安く入手したユーザーがそのあまりにもいい音質に気が付き再評価されはじめた)もののようだ。そういう理由でオークションでも同ランクの他社製品よりやや高値で取引されている。現在はAMステレオのパーツが生産中止になり、実質新しくAMステレオ搭載のチューナーが生産されることは無くなった様で、今市場にあるものが捌けたら新品での入手はまず不可能になる。AMステレオはもはや風前の灯火の状態にある。関東首都圏では四局もAMステレオを採用しているのにそれにあやかった製品が作られないっていうのもおかしな話だが。パイオニアだけがそんな高音質なAMステレオ受信技術を開発できたってのが涙ぐましくてなんだか無性に欲しくなってしまったの。
ちなみにその技術を継承したとおもわれるパイオニアの最後のAMステレオ対応機種「F-D3」がまだ新品で入手可能。

別件だが、「CDをAMラジオの音質で聞くにはどうしたらいいか」という質問がどっかにあったんだけど、「帯域や音域を狭めて保存」みたいな解答がやたら多い中それに真っ向対立する意見があって、「AM音質は単純に圧縮音質じゃなく、あるレベルでは原音以上の音圧になっているのがわからんのかこのどアホ!」という説でたぶんそれが正解だと思うんだけど、それを実行する機械がやたら金がかかって笑った。