終わりの季節

公園の鬱蒼としていた一番広い区域の林の下草が刈られてすっきりしていた。
コオロギの類は平気だろうが、茎の太い草に卵を産み付けるカンタンの類などは卵ごと持って行かれてしまった様子だ。だが、もともとが人工の林、どこからともなくやってきた虫がこんな事ごときでいなくなるとも思っていない。

雨や寒波が続いて昼間はわからないが夜半に鳴いている虫は寒さの緩い夜で僅か、厳しい夜には皆無になってきた。ここのところはマラソンコースに出てくるコオロギもほとんどいなかったが、一昨日一匹出ていた。だいたいはメスだが(そのメスでさえほとんどいない)エンマコオロギのオスだった。先日の除草の影響で、林の奥から逃れてきたのか、そんな様子だった。たぶん今年会うだろうエンマはこれが最後だろうと思い拾った。寒さで鈍くなったエンマは跳ねても1センチくらいしか跳ねられず尻を押せば自然と私の手のひらに乗った。家に帰って良く見ると後ろ足が一本ないのはわかっていたが、触角が一本根から無く、もう一本も一センチくらいしかない状態だった。

ここ三ヶ月のコオロギ飼育で学んだこと
1.気温(室温)が低いと羽化に失敗する。
2.オスは同じ種類で複数飼うと弱いオスは衰弱し、死にやすい。
3.交尾した雄は長生きしない。

現在、うちにいるコオロギは一昨日拾ってきた一匹と九月頃拾ってきた一匹のそれぞれエンマが二匹。九月からいるエンマは幼虫から拾ったエンマで繁殖を目的としない(メスがいない)我が家の環境下では目下童貞街道驀進中。その間に成虫で拾ってきたエンマを三匹ほど導入したが、十月初旬には全て死んだ。(死んだ理由は様々有るが、要は一番元気なオス(童貞)が縄張り争いをした結果導入したたぶん童貞でないオスが手負い、衰弱して死んだ様だ。コオロギが複数いる状態にもかかわらず、鳴いているのはいつも一匹か二匹だった。他が鳴き出した時点で縄張り争いが始まるのだろう。小さい水槽という逃げ場のない環境で鳴く度にいじめられたのではストレスもたまるってものだろう)ということで、今回ひろったオスは別の容器に飼うことにした。秋も深まり鳴く回数はだいぶ減ってきたが、昨夜は二匹で元気に鳴いていた。

タンボコオロギは越冬するというので楽しみにしていたが十月下旬にはみんな死んでしまった。おかしいなぁと思っていたら、越冬というのは成虫ではなく幼虫の状態でということらしい。いわゆる、年間で二期繁殖する種のようだ。クビキリギスの類などで幼虫で越冬する類は知っていたけど、コオロギにもそういう種があったのね。勉強になった。