一本のろうそく

全速で走ることさえもう、おぼつかないのです。
アフリカの草原に放たれた日には、松島トモ子かふぐたかの勢いです。
そういう意味では早いと自負しています。餌的に。

ところで、ろうそくに火を付けて灯りを消されたので、何かが起こると思ったら童謡の話になった。
行きはよいよい帰りは恐い とうりゃんせ恐い
童謡恐い。神隠し恐い。間引き恐い。座敷童恐い。

でも恐くない。恐いのはなんのせいなのかな。

読み歌知らずって恐くない?
どんなに恐い歌も作者がいれば安心するじゃない?そういうものじゃない?
作者が居ないって、不詳って、でも在るって恐いじゃない。
作者不詳恐い。どっからきたのかわからない恐い。

「チョベリバ」って言葉が流行った時、たぶんどこかで最初に「チョベリバ」と口に出した女子高生がいたと思うのはたやすいが、もしかしたら居なかったということも仮定できるじゃない?勝手に流行った。勝手に「チョベリバ」が現れた。どこぞから「チョベリバ」が出現して、みんな云って去った。「チョベリバ」誕生の瞬間に立ち会えない以上、「チョベリバ」は作者不詳、読み歌知らず。「チョベリバ」恐い。

そんなことをバカみたいに話していたらなんだかどうでもよくなったのでやめた。ろうそく恐るべし。