中年とときめき

きほん患い虫(精神的)の私なので若者とウマが合うなんて事はほとんど無いのだけど、クラスメイトのI君はなかなか礼儀正しいナイスガイなので、それでいて横っ腹が敏感スポットなので挨拶がてらにつっつくことにしている。
そんな犬顔のI君が唐突に質問してきた。
「おもしろいですか?学校」
まるで答えを見透かしたような問い。
「どうしてそんな質問すんの?」
「いやぁ。自分もけっこうあれですよ」

ここでチャイムがなってしまったので席に戻った。

次の休み時間

私が教室の窓から外を見ていると
「何、黄昏てんですか?」
「とんぼがきてるんだよ、とんぼ」
「・・・・・」

私はその後もトンボを見たり、自販機に充填しにきている業者をひとしきり凝視したりそういうことをしている。魂自由空間。しばらくしてチャイムが鳴ったので教師が付くまでの間I君の脇腹を攻撃することにした。机に突っ伏して仮眠中のI君を攻撃するとむっくり起きあがり、
「ふぅ~~」
「どう?勉強」
「(私)さんもけっこう寝てたじゃないですか」

そしてわたしはおもむろに開いてあったノートを何枚かめくってみた。
「!!!」
一瞬よくわからなかったのだけど、そのページだけ他のページとは明らかに違う文字密度でみっちり、なにかとても特定なことについて述べられているのが少なからず分かった。
「な、な、なにをみてるんですか! あーもう、あついあつい!」
I君は明らかに動揺してノートを閉じて顔を扇ぎだした。
「えぇ~ちょっと、なんか悪いことした~?」
教師が教室に入ってきたのでそう言い残して私は退散した。
が、これはもしや、中年が若者と秘密を分かちた瞬間?

私は、I君のノートに記されたものすごく特定な事象を指すワードと、動揺した態度に軽く血圧50mmHgは上がった。それはI君が私の中で犬顔+ミステリアスガイとしてステージを駆け上がった瞬間でもあった。