大友裕子「傷」

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某中古レコード屋のおじさんに薦められてそんなに高くなかったので買ってみた。試聴でレコードかけてもらって聞いた一曲目「浮気のへたな男」の「あなたたちまじめすぎるのよ」の文句にやられつい購入。この人のことは全く知らなかったのだけど、ヤマハポプコン出身、デビュー曲「傷心」はそこそこヒットしたらしいが、要はポプコンのジンクスともいえる「一発屋」のたぐいで終息した人のようだ。(けれど、その一発さえ私は知らなかったわけだが)。ハスキー系の声。平常時はそこそこノーマルなのだが、感情が高まり出すとシャウト、というよりは、涸らして歌う感じで、こういうの好きな人にはたまらないのだろうけど、なんかね、乗り切れない。なんか、臭い感じがしてしまう。数日前の誰でもピカソちあきなおみ特集でビートたけしが云った「これ以上やっちゃうと臭いっていうんだよね」って言葉が頭をよぎった。どんなに曲が良かったり、声が良かったり、バックがよかったりしても、この「臭み」ってものは一瞬にして音楽を白けさせてしまう要素がある。この人、歌も上手いし、曲も悪くないし、歌詞だってなかなか良いと思う。エイジングっていうんだろうか。もう少しこう、自己を押し殺すような表現が出来ていたら強烈なSSWとしてもっと評価されていたかもしれない。なんつうか、芝紀美子なんて聞くとそのあたり突き抜けて達観して聞こえるんだよ。完全に地で歌ってるというか。稲葉喜美子なんかは多少臭みを残しているけど、昇華しているし。逆に中山ラビなんかは、私は臭すぎて全く受け付けませんでした。それとはまた違うんだけど、そうね、難しいもんですね。彼女の場合は、優等生過ぎてそれがかえって仇になっている感じがしました。やっぱり、個性とか才能だけじゃないサムシングって大事なんですね。特に表現者は。そして、リスナーっていうのは移り気で軽薄なようで、そういうことちゃんと聞き分けているもんなんですね。