西島三重子「bye-bye」

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で、ハードオフカセットデッキとスキャナを売った元手でこのレコード買った。百円。ジャケがあまりにも秀逸だったので。西島三重子という人は実はよく知らない。「池上線」いわれてもよくわかんない。でも最近70年代後半~八十年代初頭あたりの姉さまSSWを頻繁に聞いているので聞き逃しといて後で後悔するのも嫌なので買ってみたって事なの。客観的に考えて70年代~80年代にかけてのユーミンと対をなすSSWの流れの頂点が中島みゆきであって、その下に脈々と、中島みゆきが天才的というなら、やや凡庸なSSW女性シンガーが裾野いっぱいに広がって存在していたようです。実は余り知らなかったのです。どちらかといえば八神純子とか渡辺真知子とかニューミュージックをベースにした方は案外耳にしていたのだけど。その影に稲葉喜美子とか胸に「怨の字」を秘めたようなシンガー(山崎ハコは知ってたけど)が少なからずいたことを。で、西島三重子。なんというか、沢田聖子を聞いた時に感じた「中途半端」感をここでも感じることになりました。沢田聖子でいうところの「アイドルなのかSSWなのか存在的にも音楽的にもどっちつかず」な感じが西島さんの音楽からも感じられました。まず、詩の世界ね。男の話をみんな鵜呑みにして尽くして甘えさせて別れ方も知らない、ロンリーガール。別れかけの男が時計を気にしたりしているのに苛立ち、別の女がどこかで待っているのを悟ってわざとカモメが飛んでるだのとじらす嫌な女だったり、基本的に暗くて湿気のある歌が多いんだけど、なにか物足りないのだ。末期でそんなに余裕ねぇだろ、もっと修羅場っしょ。って感じが常にしてしまう。切り込みが甘いと思う。暗くて苦いとこ目指している割に肝心な部分から目を反らしているような、もっと澱んで濁ってる部分が確実にあるはずなのに暗い割に甘い。あと声ね。沢田聖子しかり、なんとも無個性な声なんだよなぁ。残念ながら。特別上手いって訳でもないし。霞んじゃうよな。やっぱりみゆき聞いちゃうよな、ってことになる。みゆきで事足りる。みゆきで割り切れないなにかが西島さんの音楽にあればそれだけで食いつけただろうけど、容姿くらいなんではないだろうか。残念ながら。そういう意味で稲葉喜美子は中島みゆきで割り切れない部分を上手いこと補っていると思う。中島みゆきには出せないえぐみがある。歌詞カードなんか読んでると「椎名林檎?」とか思えるような漢字使いしているし。もちろん西島さんくらいのライトな暗さがベターだって言う人ももちろんいるわけだけら、世の中捨てたもんじゃないんですよね。ちなみにこの人、90年代はほとんどリリースが無く、2000年に入ってぼちぼち活動再開しているようです。なんだかそういうシンガー多いね。(やまがたすみこ石黒ケイしかり)90年代には忘れきっていた元リスナーが思い出したように2000年に入ってノスタルジーに慕っているという構図なのかしら。だとしたらきちんと当時に戻れるように入手困難な旧譜を再発しておいてもらわないと困りますよ。(やまがたすみこはかなり進行してるからいいなぁ。久保田早紀はコンプしたしね)たのみますよ。