石黒ケイ「アドリブ」「ヨコハマノクターン」

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これで活動停止前のアルバムは「情事」以外全て聞いたことになる。ほぼコンプ。九割方聞いたと言って差し支えないと思う。なのでここで石黒ケイのアルバムの好き順位でも発表して自分を慰めてみたいと思う。

石黒ケイ・アルバムランキング
一位「女は女」
不動。昭和の乾いた歓楽街を想起させる好盤。中島みゆき「みんな去ってしまった」ちあきなおみ「あまぐも」あたりに通底するものもあり。矢野誠プロデュースで石黒ケイ作品中最もロック色濃厚なアルバム。この感触のアルバムは残念ながらこのアルバムだけである。

二位「ものがたり」
フォーキーなジプシー感あふれるファーストアルバム。聞き込むと意外な良さが出てくる。筒美京平曲あり。

三位「潮騒
ストリングスをあしらったイージーリスニングと惑うほどメロウなアレンジをまとったサードアルバム。

四位「アンダートーン」
石黒ケイのキャリアで一番ジャズ調なアルバム。硬質な録音もいい。港町のブルースといった雰囲気。どう考えても「アドリブ」よりいい出来。

五位「ユー・リメンバー・ミー
いわゆる「ヨコハマ色」を出してからのアルバムでは最上級と言えるアルバム。「アイ・リメンバー・ユー」はシングルヒットしてもおかしくないと思えるほど良い曲。

六位「モン・サン・ミッシェルの孤独」
打ち込みの出だしから時代を感じるが「こういうの流行ったよな」って感じのアダルトでしっとりとした情感のあるアルバム。掴みのしっかりしたメロディもなつかしい。

七位「アマン」
活動停止前のラスト作。さっぱりとしたアレンジで曲の感じは「モン・サン・ミッシェルの孤独」に近いがこちらの方が聴きやすいと思う。なんというか、後期アルバムの集大成といってもいいような安定した出来で完成度は高い。この順位ですが決して駄作じゃないです。作風が「モン・サン~」に似たというのは、このアルバムの曲が全曲作家によるもの(作詞も二曲のみ)というのもあるかもしれません。私としてはSSWとしての石黒ケイは捨てないで欲しかったというのもありますが、東芝時代はシンガーに徹していたという印象が強いですね。このアルバムは初期のフォークロックでもなく、ジャズ歌謡でもなく、ヨコハマブルースでもなく、無難なAORに纏まったという感じ。

八位、九位「ヨコハマ・ラグ・タイム」「パープル・ロード」
ヨコハマ二部作といわれるアルバム。ジャケの感じも似ているが内容もよく似ていて甲乙付けがたい。「あぶない刑事」のバックでかかってもおかしくないような曲も多い。

十位「アドリブ」
代表作と言われる一番のヒット作らしいが、意外とこじんまりとしたアルバムだった。ジャズ色で比べても次作の「アンダートーン」の方が勝っているし。まだ聞き込みが足りないかな?ジャズ歌謡というよりはジャズムード歌謡とでもいったほうがいいような、どちらかというと普通にムード歌謡に聞こえなくもないアレンジのアルバム。ピアノの感じはすごくいい。

十一位「ヨコハマ・ノクターン
「サン・モン・ミッシェル~」の翌年リリースのアルバムだけど、アレンジの安っぽさが気になる。あまり作風に気合いを感じなかった。

十二位「STORY」
当時のサブカル系文化人に作詞を依頼した異色作ゆえ、方向性がいまいち掴めなかった。珍盤というか、駄作?

十三位「ボレロ
この次の「アマン」と比べると完成度がまだまだって気がします。つーか、好みでいうとこの順位ってことになりますね。中古で一番流通が多いってのも頷けますが、このアルバム聞いて「石黒ケイってこんなか」って思うのはちょっともったいないですよ。東芝時代の石黒ケイは曲は全曲作家のもので、作詞も僅かだけ。シンガーに徹していたという印象が強い。

てなかんじです。入手の機会があったら(HARD OFFでたまたま見つけたとか)「女は女」だけでも聞いていただきたいですね。