ナラ・レオン「コイデス・ド・ムンド」

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1969年作。2002年にボートラ付きで海外でCD化(それ以前にも出ていたかもしれないけど不勉強のため未確認)したものの、レーベルがマイナーなのか日本には殆ど入ってきませんでした(私がamazonとか大型外資系輸入盤店でしか輸入盤をチェックしないってのもあるのですが)。それが2007年にして国内初CD化と相成りました。歴史的傑作盤「美しきボサノバのミューズ~完璧盤」が世界に先駆けて日本でCD化されたのが1998年。それから9年を経てのお目見えです。なんなんでしょう。この扱いの差は。時期的に言っても「美しき~」の直前に当たるこのアルバムはナラのカタログのなかでも重要な位置を占めるものであるに違いないのに。とろけそうなジャケも秀逸でいつか聴きたいアルバムとして常にトップクラスに位置していたアルバムでした。そのアルバムがついに日本の流通にのったわけですから買わないわけにはいかないので買いましたよ。で、聞いてみたのですが、曲数に反して意外と散漫です。「美しき~」がアナログで二枚組、24曲という大ボリュームで全く内容にぶれがないのに、このアルバムは一枚物で12曲(+ボーナストラック2曲)なのに、バラエティに富みすぎ、要は散漫であります。しかも、あまりアルバムの流れに関係なくいろんなタイプの曲が入ってきます。ボサもあればマーチ、ラテン調もあり、このかみ合いが非常によろしくない。残念ながらよろしくございません。なんとなくいままでCD化されなかった理由が見えてきました。そう、このアルバム、どうもボサノヴァ濃度が希薄なのです。ボサ要素が無いとはもうしません。そういう曲も多少あります。でも、それを打ち消す方の曲の個性が相殺しあってしまって収まりとしてはもはやボサノヴァアルバムとは言い難い雰囲気になっています。ボサ曲だけを拾って聞くことも出来ますが、もうそうなるとアルバムとしての機能も無くなってしまうほど淋しい感じになり、曲を楽しむだけってかんじになりますね。私みたいに「美しき~」路線を期待して買うような人にはあまりおすすめできません。1、4、8、10、11とか良い曲ですけどね。ボートラ2曲も。