夏水りせ「セルビア林檎」


いわゆる石川セリの「八月の濡れた砂」以降の洗練されたやさぐれ。とてもバランスがよいアレンジと心情、情景描写も軽いけど(軽いっていっても七十年代後半なら至って標準)決してニューミュージックとかシティポップからは出てこないそれなんだわな。ちあきなおみの「あまぐも」とか東てる美の「感触」あたりにアプローチ的には近い。やさぐれにしては声が綺麗すぎるわとか言ってもそれが七十年代後半のバランス感覚なんでしょう。その分、重さを浮遊感というか、エトランゼ感に変換しようってことなんだろうか。しらないけど。声は線が細く、かつ石川セリほどのシズル感はなく、日暮しの杉村尚美に近いかしら。久保田早紀まで行けば立派なもんだ。シングルヒットだせるような歌謡曲的なアクのあるボーカルではなく当時の評価は散々だったのではなかろうか。でも、これ楽曲と絡めて総合的に聞くととてもレベル高いわ。これは隠れた名盤ではないだろうか。アレンジは元ジャックスの木田高介。80年代にはこの路線はメジャーでは完全淘汰されるので風前の灯ってやつよね。




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