終わったよ

清水大敬は神




セミというのは一般的に地上に出てからの寿命が1週間と言われているけれど、1週間というのはいくらなんでも短すぎる。だいたいオスのセミが脱皮して身体が硬くなりちゃんと鳴けるまでになるのに三日はかかる。その三日を差し引いて残りの四日で天寿を全うするとでも?そんなわけない。少なからず十日から2週間は通常に生きるだけの機能は備わっている。ならばセミの寿命はどこで決まるのか。セミというのは口で木の汁を吸うけどそれは栄養を補給するとかまして成長するとかではないと思われる。セミは死ぬと空っ空に軽くなることでも分かるように体内に多くの水分を備えている。なので主には水分補給、また鳴いてヒートした身体を冷やす役割?飛び立つセミがしょんべん垂れるってのはそれだけ体内に水分を保持しているって事の証で、飛び立つだけで失禁するってくらいしまりがないのはいわば水をしたした筆のような状態であると言える。そのくらいセミの体内は水分で充たされていないといけないわけだ。なので水を補給できない状態になれば半日持たない。また、セミの前足の爪はとても脆い。前足の爪が破損しただけで木にとまることはおろか、踏ん張って木の汁を吸うことも出来なくなる。前足の爪の破損がすぐ死に直結する。また、セミは兎に角身体がでかいので飛ぶことでの体力の消耗が他の昆虫と比較にならぬほどでかい。夜の外灯に飛んでいくようなセミは自殺してるとおもっていい。それは仕方がない。昆虫の最盛期にはそういう余分も含めて繁殖ってのは成り立っていると思うから。夜中に鳴くセミも同等。それはほぼ24時間労働を強いられているようなものだから。こういうセミに関しては1週間どころかその日が最期ってことも珍しくないかも知れない。だいたい夜中に鳴いても飛んできたメスを確認できようもないし、交尾にだってありつけないだろう。非常に不経済だ。ただ外敵のカラスに狙われないという利点もあるが、鳴いたところでメリットはないのだから盛大な自傷的自慰行為と捉えるのが妥当だろう。
夏の暑い盛りはセミにとっても消耗、浪費が激しく、この時期のセミに関しては一般論の1週間も甘んじて受け入れられる。セミにとっての本当のサバイブは九月後半からだ。
セミの寿命を1週間だの2週間だのと定義するのはやはり乱暴だなと感じるのは、事実として十月の下旬まで生き残るセミが存在しているからだ。それを説明するのにセミの寿命が1週間であるという仮定では説明がつかない。まず、セミが地上に出て羽化する時期はだいたい七月初旬から九月上旬。しかもセミはオスが先に地上に出始め、九月くらいに羽化しているセミは殆どがメスだ。なのでオスのセミの殆どは八月中には地上に出ていることになる。そのセミがいかに生き残るか。セミの長寿の条件は飛ばない、鳴かない、目立たないの三条件だ。まず、飛ばないことは無闇な消耗を防ぎ、外敵(カラスなど)からの捕食から逃れること。そして木にとまる衝撃で前足の爪を破損しないこと。なにせ消耗の大きい飛ぶことを回避することで体力を温存出来る。鳴かない事は体力の温存、交尾の回避。目立たないは人目や外敵、雨風をしのげるような枝の密集した木の死角にいること。だいたい秋口にセミの鳴く場所というのは、木の密集した窪地や農家の防風林の内側などで、それだけ条件がいいというのがわかる。九月から十月になると冷え込みからセミは活動性が鈍り、鳴くのも天気のいい日中だけになる。体力(生命力?)を温存できているセミは多少の冷え込みは耐えられるが、だいたいのセミはこのあたりで脱落していく。特に台風などが来たときに顕著でだいたいのセミはこれでやられる。台風一過でも鳴いているようなセミはこの条件を少なからず満たしているセミだろう。体力を温存できているセミにとっては多少の冷え込みは活動を抑え体力の浪費を防ぐ方に働く。冷え込みが生命維持に支障をきたし、かつ体力の限界を迎えた時点で活動を終える。いまのところその最終が10月の下旬でセミの種類はアブラゼミのみだ。そして私の考え得るアブラセミの成虫の最大寿命は、二ヶ月。





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