永遠に答えず

セスジツユムシ、私の子供の頃には身近でポピュラーな虫だった。
庭や公園に普通にいたし、見つけるのに時間なんてかからない。
夜に鳴く虫だが、昼間は酔っぱらった様な変則的な鳴き方で鳴く。
葉の上で体をぴーんと伸ばして擬態しているつもりもバレバレなセスジツユムシ
セスジツユムシがなんでこんなにも一般的な虫じゃなくなったのかしら。
そもそも私が話しているのは30年前の話。その頃は普通にいた。そんじょそこらに。
20年前なら、いや、それでもいた。確実に。
10年前?その頃から怪しい。聞いたきもするけど既に郊外。
そして現在。夕暮れの郊外を車で走っていてもほとんど聞くことはない。
理由も私なりに考えてみた。
まずは害虫駆除の薬だろう。
今はプラタナスとか桜を見てもほとんど毛虫がいない。
虫食いはあっても毛虫が見当たらない。アメリカシロヒトリ、見なくなったよな。
田園をみてもイナゴは少なくなった。
どうもそのあたりからセスジツユムシを見なくなった気がする。
セスジツユムシは薬剤に弱い虫だったのだろうか?
だけどいまやセスジツユムシがいない範囲は広域なので害虫駆除の管轄どころではない。
それに害虫駆除されていないだろう郊外には普通に他の虫はいる。
ヤブギリ、ウマオイ、カンタン、キリギリス、クツワムシ。
セスジツユムシはいまそのキリギリスとクツワムシの間くらいの所にいる。
天敵が出来たのか。
でも、こうも満遍なくさっぱりいなくなるからにはその天敵は減少の前後に増減があったはずだろうけど、わからない。単純に天敵はカマキリ、ウマオイ、キリギリスなど肉食の昆虫、及び鳥類、蜘蛛のたぐい、だとしてもこんなにほぼ殲滅状態にまでおいこめるほど貪欲な天敵って考えがたい。
いるとしたら、蜂や虻の類?バッタ類に卵を産み付けて寄生させるような種はいる。だとしてもセスジツユムシだけが標的になっていなくなるくらいってどんだけだ。
メスが産卵する場所がなくなった。
セスジツユムシって枯れ草の幹とかかな?土?だとしたら同種の昆虫もいなくなって当然。
気候が合わなくなった。
これはどうなんだろう。他の生命には感じない程度の微妙な気候の変化が繁殖力を奪うとか。実際、気候の変化によって昆虫の生息範囲はどんどん変化してはいる。昔から棲み分けの中でしか生きていけない様な虫も多い。それは特別な例としても急に市街地にいた虫がいなくなる様な変化ってどんなんだろう。例えば単純に温暖化が原因だとしたらセスジツユムシは北上して寒い地域には多いってことになるけど。どうなの?ちょっと山間とか標高が高い地域とかだと多かったりするかな?まぁ、それだけ自然の豊かなとこなら居て当然みたいな感じもするから判断難しいな。
食べ物がなくなった。
あると思うよ。
環境的な(大気汚染、水質汚染など)影響。
他の虫はかえって増えてたりするからな。ゲンゴロウは都内で全滅宣言済み。

虫って一つのサイクルの掛け違えで消滅したりするから(オオムラサキなどは食樹の下の枯葉で幼虫で越冬するけど人が住んでる地域なんかではその枯葉を掃除して焚き火したりして結果的に消滅みたいな。)市街地にいない虫のほとんどがそんなサイクル欠損によって郊外でしか生きられないわけだけど、セスジツユムシもいつの間にかそのサイクルを失ってしまったのかしらね。