多岐川裕美「酸っぱい経験・濡れてさよなら」

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80年代初頭に多岐川裕美が美女として消費された時代が確実にあったのは多岐川裕美のレコードのリリース枚数からも伺えるし、このファースト(←ファーストでなくセレクションアルバムらしい)に関しては中古市場でも相当数を見かけるのだから実際売れてもいたのだろう。もちろんお茶の間的なヒット曲があるわけではないが、別にそこには価値はない。高木澪に代表曲があったところでそこから拡がっていく物がないのと等しい。ただ多岐川裕美にはライブアルバムが存在している。ライブアルバムの有無はやはりでかいと思う。そこにはファンが着いているという事実が歴然と存在しているからだ。多岐川裕美の唄を聞きに来るファン。多岐川裕美のパフォーマンスを堪能しに来るファン。そしてライブアルバム。そのファンたちの大半は唄を聞きに来ると言うよりはLPジャケットにサランラップして顔射をきめたそのフェイスを拝みに来たのかもしれないが、その方が健全な感じもする。そんな人たちのたまり場であって欲しいとさえ思う。そんな私は多岐川裕美を音楽として鑑賞している。それはこのジャケットの対面でいきった殿方たちが股間を熱くしている姿が容易に想像出来るからかもしれない。
このアルバムは粒ぞろいとしか言いようがないが全体の起承転結が無難に纏められていて、でもコンセプトがあるとかそういう堅苦しいことはない。致命的な問題や欠点を多いに孕んでいるにもかかわらず全体の流れは見事で、でもすごいクオリティ高いとかそういうのではない。正直女優もの聞きまくっている様な人には「ものたりない」の一点張りな内容にもかかわらず、かかわらずも不思議と一貫していて流れがよく無理がない。だいたい10曲で32分しかないのだ。録音はたいしたこと無いがカッティングは優秀で内容が内容なだけに惜しいくらいでもあるがやはりこのアルバムを私は名盤だと言い切りたい。どうしようもないんだけどね。

つーかCD化されてやがんの!買うわ。