森繁映画「地の涯に生きるもの」

去年暮れに森繁が亡くなったとき、加藤登紀子が「森繁が自費を投げ打って制作した知床旅情誕生のきっかけになった映画がある」と言っていた。BSでやっていたので見た。二時間強ある映画だが、90分くらいにしたらもっとすっきりしたのに。正直あまり完成度の高い映画ではないが、なによりこの映画の趣旨である「知床に大風が吹いて漁船が知床の港に戻れない。国後に戻れば助かるがソ連の領土で拿捕されてしまう。その板挟みでたくさんの人が亡くなった」という部分が後半にちょこっと、それほどクライマックス感もなくあっさり出てきて終わってしまう。それに至るまでの長々としたストーリーが凡庸すぎるし老人のエピドードをいちいち細かく書きすぎてるよな。だけど山場である遭難以降の展開、死んだ息子の婚約者の司葉子が来たり、一瞬夢オチ(死んだ人々が老人を漁船に誘う)とかはちょっと面白かった。でも、その後の真オチがイマイチでいっそこの夢オチで終わった方が後味いい気もした。あと、残念ながらこの映画内には「知床旅情」の歌もメロも出てきません。惜しい。