松田聖子と中森明菜

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本が読みたいとかいっといて最初に読破したのが結局これだったわ。ひー。
少なからず知っている過去の話ってさらさら読めるね。300ページ四時間かからなかったもの。
タイトルとしては聖子と明菜の対比の本のようだけどアイドル歌謡の変遷と終焉の話とも取れる。話はスタ誕、山口百恵から始まるし。ポスト百恵の時代からアンチとして聖子が大成し再び明菜がアンチ聖子として現れる。そして聖子の結婚、明菜の自殺未遂で歌謡は終焉を迎える。おおまかにはそういう話だけど、制作サイドの話、百恵ちゃんの都倉・千家、阿木・宇崎。聖子の三浦・小田(財津)、松本・松任谷(細野)のエピソードにかなり費やされている。既成の演歌、歌謡曲との対峙、解答としての聖子ちゃん。日本語の湿っぽさを嫌った松本隆の言葉の飾りと歌詞の無意味さ。それを無意味に歌いきる聖子さま。やりたいことはやり尽くした挙げ句に「ピンクのモーツアルト」という前衛歌謡を区切りとして一度聖子から筆を置く松本という成り行きは改めて俯瞰すると至極当然という感じがする。あと、聖子さまはデビュー前からやり手、というか強運の持ち主、明菜は学が無く直感と思いこみで乗り越えてきたみたいな事が忌憚なく書かれていて、要はぼろくそなのも面白い。そういえば去年暮れのNHK特番「SONGS」で明菜様のレコーディングの場面があったのだけど、歌詞カードの漢字部分にくまなくルビがふられていて「うぉ!」と思ったんだが、ホントに読めなかったのだな。そもそも親の方針で「勉強はしなくてよし」ということだったらしいから仕方ないよね。いさぎいいじゃない。83年の終わりに松任谷が松本に「もう(聖子の仕事は)辞めよう」と告げていたこと。その翌春「ロックンルージュ」の作詞過程で行き詰まって松本失踪とかなかなか微笑ましい話だ。そして私は80年代以降最大の作詞家は実は松本隆でも秋元康でもなく康珍化先生だったんじゃないかと確信めいたものを感じた。2002年にはBoAの「Valenti」で咆吼をあげていたし。そしてこれに敵うような仕事を松本も秋元も2000年代に出来てないでしょ?中島美嘉?AKB?弱いよ・・・。