SHM-CD

軽くスルーされるとおもいきや、意外にも評判になっているCDの新規格「SHM-CD」。透明度の高い硬質カーボン素材を使っているとかいないとかで実際聴いてみていないので違いを選別出来るわけではないのだけど、これは要はCD再生時のピックアップ時に起こるエラー信号を素材によって補正、よって従来のエラー信号、材質の濁り、盤の湾曲などで劣化した信号がより正確に再生される、ということらしい。だから基本的には音源のみなもとは同じで素材だけ違うってこと。それで音が良くなると言うことらしい。

ということは、いままで幾多と販売されてきたCD全てが実は総じて不良品だったという事ではないのか?粗悪なCDをリスニングすることを強いられてきたということではないのか。エラーだらけの最悪「聞こえればいい」レベルのメディアがここ20年以上流通していたと言うことだ。なんという愚行。今まで買ってきたCD全部返品して新規格CDに交換して欲しい気分。

だが、実際そんなに音いいもんなのか。単純にリマスター無しの音源でもカッティングなどの技術向上もあって最近のCDは昔のものより音は良くなっていると思うが(マスター劣化を除いて)CD黎明期の音と比べるのは論外として、最新のリマスターと比べてそれほどの差があるものなのかしらん? あと、素材という点においては、中島みゆきが昔同時発売で出していた高音質素材CD「APO盤」ってのがあったが、あれはほんとに全くと言っていいほど当時話題にならなかったけど(特にオーディオ的な価値に於いて)要はあれと同じコンセプトってことだよね?これ。それを踏まえると「何をいまさら」って感じも否めませんね。そいや最近ガラス製の20万だかするクラッシックの受注生産CDも出たって事だから、素材の硬質化、透明化っていうのはCDという媒体にとっては命題なのかもしれないが、なんで次世代オーディオ(SACD、DVD-A)が流通している現状でわざわざ旧規格の高音質化にこんなに躍起になっているのか、よく理解できない。新幹線のある時代に各駅電車の線路をいくら改善したって新幹線に及ぶわけ無いのに。一車線の道路をいくら整備したって、五車線の道路には適いませんよ。結局、CDという媒体にこだわっている限り「疑似高音質」でしかないと思うんだよね。今までのCDと比べて良く聞こえるような錯覚を起こさせて、実は同じ「44kHz、16bitでした~」みたいな。そりゃないぜみたいな。それとも、CDも素材の純度さえ高めればまだまだ捨てたもんじゃないと、本気で言っているのか。Blue-rayの時代にたかが700Mの貧弱なメディアで満足しろと本気で言っているのか。それとも、高ビット、高スペックの音源を流通させたくないもっと別の理由があったりするのか。圧縮音源で適当にお茶を濁してマスターはきっちり保守みたいな。まだまだ切り札は出さないよみたいな。ここ数年の新譜のhybrid SACDの激変っぷりみてるとあんたらやる気あるのか?ってつくづくおもうよ。(オーディオ系のレビューで「近年のJ-POPはCDもSACDも音質的に大差ない」みたいな評価が多いのも問題だと思うが。)

ってことで、とりあえず「SHM-SACD」出るまで無視することにします。