大木英夫・二宮善子「あなたまかせの夜だから」

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71年。ミノルフォンレコード。近所(とはいっても半径1キロくらい)に五年前くらいに出来たリサイクルショップに、開店以降二度目の来店。店にはいると誰もいない。どこか納屋と繋がっているのかな?などと思いながら薄暗い店内を物色。なんだか見事になんにもない雰囲気。物置小屋と化して居るぞ。山鳥やキジの剥製なんかもあるぞ。そんな中にLPレコードが300枚くらい雑然と置いてあったので掘り出し。そのうち店主が戻ったらしい気配がしたので、それに、私の場所が死角になっていて見えないのでなんだかこそ泥みたいな気分になってきてやなので店内を全部徘徊してから店主に聞いてみた。
「レコードあそこだけですか」「そうだよ」「一枚いくらですか」「百円だよ」
で、またレコードに戻って物色。店内が薄暗いことにやっと気が付いた店主、奥の照明を付けてくれた。やっぱりろくなのないな。おいしいのは全部売れちゃって残りかすだけって感じ。良くあることです。でもなんだか店主に声かけた手前手ぶらで店出るのもアレなので何枚かセレクトすることにした。正直、一枚百円でも高いジャンク状態のものが殆どで「聞きたい」というよりは「冒険してみる」しかないようなアルバムしかない。一枚は子門真人のレコード「歌え!ハッピッピー」。これも、状態が並程度なら余裕で選ぶのだけど、ジャケが水濡れ、しかも見開き部分が完全に接着状態で、無理に剥がそうものならいっちゃうような感じ。盤状態も至って悪い。でも仕方ない。他にそそられるレコード無いし。で、もう一枚、たぶんここで買わなかったら一生見ること無さそうだなと思ったレコード、大木英夫・二宮善子「あなたまかせの夜だから」。こちらは白ラベルの見本盤。盤はなんとかいけそう。とりあえずこの二枚を買ってみることにした。空調0の店内でレコード物色したせいで軽く汗だくになっていたので、買う時おもむろに「汗だくだねぇ」と言われてしまった。なんだかこそ泥を疑われているような気分になっちゃって「暑くって」なんて言いながらお金を払って店を後にした。まぁ所詮一期一会みたいなもの、多少気まずくたってそんなことはよくあることだ。
で、家に帰り、早速レコードのメンテ。(どちらのレコードも汚れが酷くてすぐに聴ける状態じゃないので)子門真人の盤は思ったよりくらっており、A面の終盤では音飛びもあった。内容はオリジナル童謡的なものだけど、音的にはいい出来だった。で、あまり期待していなかったこの「大木英夫・二宮善子「あなたまかせの夜だから」」でありますが、白ラベルだからかわからないけれど、普通の盤より少し厚い気がする。洗ったら盤も見違えるようにキレイになって、それほど聞き込まれた盤じゃないことが目視でわかった。レコードかけると、このアルバム、構成として曲の前にナレーションや小芝居が入る変なレコードなんだけど、音は抜群に良い。タイトル曲「あなたまかせの夜だから」の男女混声のユニゾンがかっちょいい。ジャンル的にはムード~歌謡曲だけれど、アレンジ的には歌謡ポップス調のすっきりした音響でなかなかよい。これは予想以上のコストパフォーマンスを見せてくれそうですぞ。後半の「センチメンタル東京」「あなたとわたしの街だから」もなかなかの秀曲。なかなか出来の良い歌謡ポップスアルバムでございました。他にいいレコードがあったらたぶん選ばなかったと思うから、結果的によかったかもしれない。