栗原小巻「愛は蜃気楼のように」

冒頭からベートーベンの「月光」で幕をあけてしまうやる気まんまんな展開。
小巻はやる気です。でも、やりきれない感じです。
だけどこの「年増がせいいっぱいがんばっていますよ」感は評価に値するかもしれません。
たまに素っ頓狂に力んで跳ね上がる小巻のボーカルは坂本スミ子に似ているが
パンチ感ゼロ+不安定感10割増しでおもしろいかんじです。
例によって女優物なので随所に朗読が挿入されるのですが、
こういう女優物特有のひとりよがり感って定番なんでしょうね。やりがちよね。
秀逸は「もうこれ以上は危険です」かな。
若い男に入れあげられた小巻が一人旅に出て男を宥め賺す曲。
もうコントのような滑稽さで素晴らしいです。
若い男を手玉にとる年増の歌数あれど、これはどちらかというと年増が若い男に手玉に取られて尻込みしてる歌。それを「私は手玉になんか取られておりません」と言い訳してるだけの歌。これを小巻はきちんと唄いきっているわけなので名曲です。