can「lost tapes」

canの未発表音源集が届いた。日本版、UK盤は高いので一番安いUS盤で注文した。
たぶんレギュラー盤だと思ってたら届いた箱がでかかったので開けたら初回だった。
(よく見たらprinted in EUになってた。UK盤じゃん!でもシールにはUSAの文字。中身は共通なのかしら?)
なかなか凝った収納だけど、CDが二枚外れて箱の中でぐるんぐるんしてたわ。
海外らしい仕様ね。日本のキチコレクターが一番嫌いそうないわゆる「CDを箱に直置き」方式。
渡来してきたものはみんな外れて傷だらけになってるんじゃないかしら。らしいわ。
三枚組で二千円ちょっとだし、私は文句ないわ。
それにしてもこれは…。凄い内容よ。当時のcanにしてみればお遊び程度のことなのかもしれないけど
それが凄いのよ。
当時のcanって所謂アルバム以外にカニバリズムとかunlimited editionみたいな編集盤もけっこう出してたけど、なんでそこにこれらが入らなかったんだろうと素直に思う。タイトルの通り「紛失」していたということなのかしら。それだけが理由なのかしら。
作品としてはやや一本調子で練り込まれた印象のないこれらのデモ音源だが、ざっくりとした音の鮮度が異様に高い。こちらに斬りかかってくる刃先があまりに大きく鋭いけどざりざりしてて斬られたら傷口がザクザクになるような。ここに収録されている音源は紛れもないCANなのにも関わらず、こういう側面って実はひた隠しにしていたところなのではないかと思ってしまう。CANのanother sideがここに来て表に出たということか。もちろんこれらの音源が当時アルバムになって出ていたら世の名盤配置図に異変が起きてたかと言えば起きてないかもしれないけど、少なからず「saw delight」以降のアルバムよりは格段に上がる音源であることは確か。実は凶暴でノイジーでパンクでサイケでロックンロールなCANが聞ける。かつ、音響!


だけどよくよく考えてみると、ここに納められた音源はマルチチャンネルのオリジナルテープから現在のセンスでミキシング、ミックスダウン、マスタリングされているわけで、そういう意味ではぞんぶんに今的な音に仕上がっているということだろう(リミックスはされていないにしろ)。当時きちんとミックスダウンまで(いわば、詰めまで)終わっている音源ではないのでここに現れた音が必ずしも当時の音の目論見と同じなのかと問われるとそれは違うのだろう。たぶん、当時なら当時なりにもっと違う落とし前がついていたはずだ。やはり、音の野蛮さが、今っぽいんだよな。当時ならこんなに野蛮な感じに上げてこなかったと思う。でも結局お蔵入りした音源なんだし、そんなことこだわっても無意味か。

Disc-2の「Dead Pigeon Suite」とか、ビタミンCの終わりのヤバイとこ。この旋律、マジ死ぬわ。
おおまかにDisc-1が初期(モンスター~タゴマゴ付近)、DIsc-2がエジバミヤシ付近、Disc-3がフューチャーデイズあたりってことかな。純粋な未発表曲もあるけど、後半はあり曲のプロトタイプ的なものが多い。元アルバムのアイディア集みたいな趣き。